2026.10.27
田久保開慈さん(Ⅰ類(情報系)デザイン思考・データサイエンスプログラム3年)が、2026年6月30日(火)〜 2026年9月30日(水)(UTC)にオンラインで開催された世界的なデータ分析コンペティションプラットフォーム Kaggle の 「Biohub - Cell Tracking During Development」 にて金メダルを獲得しました。
本大会は、ゼブラフィッシュという魚の胚の成長を撮影した3D顕微鏡動画から、細胞の位置や動き、分裂を自動で追跡するAIモデルの開発の精度を競うものです。この課題は 「どの細胞がどこへ移動し、どの細胞から生まれたか」を正確につなげることによって、研究者による手作業の追跡を自動化することを目指しています。
本大会では、学習に使用していない未知の胚に対しても高い精度を発揮する「汎化性能」が求められました。しかし、提供された学習データに含まれる胚はわずか2個体であり、さらに画像内の一部の細胞にしか正解ラベルが付与されていないという課題がありました。
田久保さんは、こうした限られた学習データを補うため、既存モデルを活用した疑似ラベルの生成や、実際の細胞の移動・分裂の特徴を反映した合成データの作成に取り組みました。また、学習データと検証データを胚単位で分割することで、未知の胚に対するモデルの汎化性能を適切に評価できるよう工夫しました。これらの取り組みを通じて、限られたデータから高い汎化性能を実現することを目指し、検証と改善を重ねながらモデルの開発を進めました。
その結果、総合で3,947チーム(4,478人)中11位という好成績を収め、Kaggleの金メダルを獲得しました。単独参加で金メダルを獲得したため、田久保さんはKaggleの最高位であるKaggle Competitions Grandmasterの条件(金メダル5個、うち1つは単独)の最も難しい部分を達成したことになります。
田久保さんは学内サークルである「データサイエンス研究会」に所属しており、メンバーとともにKaggleをはじめとした国内外のデータサイエンスコンペティションに積極的に挑戦しています。同研究会では、定期的な勉強会や技術的な議論を通じて、メンバー同士が互いの知識や経験を共有し、切磋琢磨しながら技術力を高めています。また、コンペティションへの参加にとどまらず、最新の機械学習技術や論文について自主的に学び、実際の課題に応用するなど、日々意欲的に活動しています。こうした仲間との交流や挑戦を通じて、データサイエンスへの理解を深めるとともに、実践的な問題解決能力を磨いています。
田久保さんのコメント:
今回は、細胞の「検出・追跡・分裂の検知」という複数の段階からなるタスクであり、モデルの学習にも丸一日かかるなど、多くの課題がありました。しかし、長期的な計画を立て、一つ一つの課題を順序立てて解決していくことで、金メダルを獲得できたと感じています。
また、「データサイエンス研究会」を支援してくださっている佐野遼太郎特任助教(データ教育センター)の熱心なご指導や、研究会で利用できるGPUなどの充実した計算資源にも大きく支えられました。このような恵まれた環境で挑戦できたことに、心から感謝しています。
【受賞者】田久保 開慈(Ⅰ類(情報系)デザイン思考・データサイエンスプログラム3年)