掲載情報は2021年12月現在
所属 | 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻、先端ワイヤレス・コミュニケーション研究センター |
![]() Ryo ISHIKAWA |
メンバー | 石川 亮 教授 本城 和彦 客員教授 斉藤 昭 客員教授 |
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所属学会 | IEEE(米国電気電子学会)、 電子情報通信学会、応用物理学会 |
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研究室HP | http://www.mwsys.cei.uec.ac.jp/ | |
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高効率、ワイヤレス通信、無線電力伝送、エナジーハーベスティング、増幅器、整流器、広ダイナミックレンジ、OAM(軌道角運動量)アンテナ
トランジスタなどの半導体デバイスを用いた能動デバイスを高効率に動作させるためには、トランジスタにかかる電圧および流れる電流の各々の時間波形を適切に制御する必要があります。これを周波数領域で実現する考え方が高調波処理と呼ばれるもので、動作周波数の2倍、3倍などの整数倍の周波数成分を制御することを表します。当研究室ではこれまでに理論的に無限次までの高調波を個別に制御できる回路形式を提案しており、これによりマイクロ波増幅器の電力効率を90%以上に高めることができることをシミュレーションにより示しております。この基本的な高効率化に関する考え方をベースに、無線通信用および無線電力伝送用の各種デバイスの研究開発を進めております。
Beyond 5G、6G、に向けたワイヤレス情報通信を実現するために、RFフロントエンドモジュールの高効率化、低ひずみ化、広帯域化を極限まで追究し、新技術開発を実施しております。
その1つとして、ワイヤレス通信において、遠くまで電波を届けるためにアンテナの直前に接続されるマイクロ波電力増幅器に関し、マルチバンドで高効率増幅可能な電力増幅器構成の提案、情報をたくさん乗せるために高度に信号処理されたデジタル変調信号を高効率に増幅するための広ダイナミックレンジマイクロ波電力増幅器の新しい回路構成の提案、等々を行なってきております。
また、大容量ワイヤレス通信を実現するアンテナ技術に関し、同じ周波数で並列送信可能な空間多重通信を実現するアンテナシステムの提案を行なっております。これは、特殊な方法でリング状に生成された電磁波が、その生成方法に応じて有する固有の軌道角運動量(OAM)が異なる軌道角運動量の電磁波と直交性を有する(互いに干渉せずに独立性を有している状態)ことを利用したもので、我々は、円形ループアンテナの円周長を調整することで、異なる軌道角運動量を有する電磁波(OAM波)を簡便に生成できることを見出し、それを利用したアンテナシステムの実証を進めております。さらに、同時に非接触給電を実現するシステムの提案も行なっております。
トランジスタ高効率動作原理を基に設計された高効率電力増幅器は、直流(DC)電力を高周波(RF)電力に変換する高効率エネルギー変換器として動作します。さらに、時間反転双対性というトランジスタ電流・電圧動作の対称性を利用すると、一部回路を調整することで、逆に、RF電力をDC電力に高効率に変換する高効率エネルギー変換器(高効率整流器)として動作させることもできます。このことを利用し、例えば、現在計画されている大規模宇宙太陽光発電のDC発電電力を地表に電波として送るための高効率エネルギー変換モジュールの実現が可能となります。これまでに、DC/RF変換効率約70%を実現する高効率増幅器モジュールの実現、RF/DC変換を行う高効率整流器として、RF入力電力が大きく変動しても高効率動作が保てる広ダイナミックレンジ高効率整流器の実現、等々を行なってきております。