2025.07.02
国立大学法人電気通信大学(以下「電気通信大学」)と公益財団法人日本棋院(以下「日本棋院」)は、2022年7月に覚書きを締結し、さまざまなプロジェクトを通じてその関係を深めてきました。
この度、電気通信大学の「エンターテイメントと認知科学研究ステーション」(代表:伊藤毅志教授(情報・ネットワーク工学専攻))が中心となり、日本棋院と連携して推進しているゲームAI関連事業のため、本学の寄附事業として連携するミュージックセキュリティーズ株式会社とともに新たにクラウドファンディングを実施します。
日本棋院との連携に基づき、同棋院の「幽玄の間」におけるトップ棋士との特別指導碁など本プロジェクト限定の特典を用意します。
チェス・将棋・囲碁といったボードゲームは、長年にわたり人工知能(AI)研究の発展を牽引してきました。中でもAlphaGoに代表される囲碁AIの登場は、深層学習技術の飛躍的進歩をもたらし、現在の生成AIブームへとつながる原動力となりました。
本学では、これまで以下のような継続的な研究プロジェクトを通じて、人間とAIの共存の可能性を探求してきました。
近年では、ゲームAIがトッププレイヤーの学習ツールとして活用されるようになり、「人間とAIの共進化」が現実のものとなりつつあります。一方で、囲碁AIの戦術的な欠陥が露呈し、アマチュアプレイヤーでもその弱点を突いて勝利する事例が増えています。また、将棋AIの世界では、先手勝率が7割に達するなど、AIの発展によってさまざまな問題が顕在化し始めています。
これらの現象は、「人知を超えたAI」の副作用として、AI社会の在り方を改めて問い直す重要な課題となっています。ゲームAIは、こうした問いを検証できる格好のテストベッドとして、ますます重要な役割を担っています。
ゲームAI研究の発展に向けて、以下のとおりクラウドファンディングを実施します。
目標金額:10,000,000円
募集期間:2025年7月2日(水)~9月30日(火)
募集ウェブサイト:https://academia.securite.jp/donation/detail?c_id=34
ご寄付いただいた資金は、本研究プロジェクトを推進するために、主に以下の6つの活動に活用させていただく予定です。
UEC杯コンピュータ囲碁大会の運営のためには、解説や審判でご協力いただくプロ棋士への謝礼、パンフレット、案内表示、看板等の印刷費、参加者への案内などの全体業務の補佐、会場設営やオンライン中継などの運営のための人件費、賞金・賞状などの費用、その他運営に関わる消耗品費用などに使わせて頂く予定です。今回のご寄付によって、この分野の若手技術者の育成を継続し、当該分野の発展に寄与していきたいと考えています。
本学では、日本棋院との連携により、2025年度から「囲碁とゲームAI」という新しい授業を開設しました。本研究プロジェクトへのご寄付は、こうした教育・研究活動のさらなる推進に活用させていただきます。
本研究プロジェクトを通じて、日本囲碁界全体の発展と、ゲームAI研究の推進に一層寄与してまいります。
詳細はPDFでご確認ください。