【ニュースリリース】埋蔵タブレットをアフリカの子供の医療と教育に再利用! ~産学連携で9カ国へ大規模寄附~
2022年09月01日
石垣陽特任准教授・田中健次教授ら(情報学専攻)のグループでは、株式会社ビデオリサーチからタブレット端末1.5万台の寄附を得て、2020年8月より世界の地域のニーズに合わせて整備・セットアップしたタブレット端末を届け、ICT・遠隔教育や医療衛生環境を向上させる「スマイル・タブレット」プロジェクトを実施しています。
プロジェクト遂行にあたっては、国際開発支援を行う株式会社パデコ、認定NPO法人 BHNテレコム支援協議会の支援を受け、2020年度にパプアニューギニアとルワンダに、また2021年度には総務省の実証事業への協力として、パラオ、パプアニューギニア、ウズベキスタン、ケニアに向けた受け渡しが完了しました。さらに、スリランカ、カンボジア、フィリピンにも提供準備中です。また、日本国内では不登校・長期入院児童・フリースクール、こども食堂、災害支援、聴覚障碍者支援、東都大学への受け渡しも完了しています。
さらに、2022年8月には、ケニア科学技術イノベーション国家委員会より、小児医療のために本タブレットを使用する許可も得られ、教育分野に加えて、医療分野での本格的な活用が開始されました。
これらの活動を通じて、これまでに延べ9ヵ国(日本国内を含む)、合計1.5万台のタブレット端末を各国・地域の子供達等に届けることができ、大学を起点とするグローバルなCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)の活動が始まりました。
プロジェクト概要
- ・開始日 2020年8月11日(木)
(パプアニューギニア大使館への贈呈式) - ・寄附相手国数 9カ国(日本国内を含む)
- ・総寄附台数 約1.5万台(2022年5月現在)
- ・国別提供台数・使用目的
- 1.パプアニューギニア(5,200台) 、初等教育のデジタル指導書
- 2.ルワンダ(4,000台)、遠隔・デジタル教育
- 3.ウズベキスタン(1,420台)、高等教育機関でのデジタル教育
- 4.パラオ(1,250台)、算数・数学のデジタル教材
- 5.スリランカ(422台)、高校等のICT教育・オンライン授業(準備中)
- 6.ケニア(130台)、現地病院での小児弱視の治療/遠隔医療基盤構築
- 7.カンボジア(102台)、大学のICT教育・オンライン授業(準備中)
- 8.フィリピン(102台)、大学のICT教育・オンライン授業(準備中)
- 9.日本国内(2,600台)、NPO団体・学校等
合計:約1.5万台
- ・プロジェクト実施者
- ✔ 石垣 陽 特任准教授・田中 健次 教授(情報学専攻)
- ✔ 鳥取 直機 氏(株式会社ビデオリサーチ フィールドワーク統括部 第一グループ課長)
- ✔ 杉山 竜一 氏(株式会社パデコ 教育開発部長)
- ✔ 榑松 八平 氏(認定NPO法人 BHNテレコム支援協議会 副理事長)
期待される効果と今後の予定
今回のプロジェクトでは、不要となった業務用タブレット端末を廃棄せずにメンテナンスした上で、教育用または医療用としてセットアップすることで、地域のニーズに合った社会貢献を実現できました。産学官連携のもと地域格差・途上国格差を解消するCSV(Creating Shared Value:共有価値の創造)に、本学の社会貢献の取り組みの一つとして資することができました。「SDGs(持続可能な開発目標)」の、「3:すべての人に健康と福祉を」「4:質の高い教育をみんなに」に直接的に、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう」「12:つくる責任 つかう責任」にも貢献できたといえます。
今回、特に新型コロナの影響を大きく受けた途上国においては、遠隔教育や遠隔医療に強いニーズがあることを確認できました。日本国内で家庭に眠っている「埋蔵タブレット・スマホ」の価値は2兆円を超えるという試算もあり、持続的な資源活用の観点からも、国・地域のニーズに応じた再利用が引き続き求められます。

タブレットを操作する子どもたち(ルワンダにて)
詳細はPDFでご確認ください。